今年も間もなく、11月11日がやってくる。中国企業・アリババが2009年、「独身の日」と銘打ってB2Cの総合ECサイトである天猫(T mall)で始めた1日限りの大セールが、今や、国民的な行事として中国の小売業界全体に浸透している。
アメリカの経済雑誌『フォーブス』によれば、その日1日だけの中国全体におけるEC取引額で、アメリカ、日本、イギリス、ドイツを除くあらゆる国における年間EC取引額を超えるという。
天猫(T mall)における2009年当時の「独身の日」取引額は5200万元(8億3200万円相当、1元=16円で計算、以下同様)に過ぎなかったが、2017年には1682億元(2兆6912億円相当)にまで膨れ上がっている。
2009年に参加したブランドは27であったが、今年はファッションアパレル、スマホ、家電、自動車、化粧品、食品、ベビー用品、書籍などで合計18万のブランドが参加する見込みである。消費者にとって、優待、値引きは魅力的だ。天猫だけで100億元(1600億円相当)の優待、値引きが受けられるそうだ。
今年の「独身の日」の最大の見どころは、アリババのほぼすべての業態が全面的に参加するといった点である。
アリババと言えば、淘宝(C2C)、天猫(B2C)といった総合ECサイトが目立っているが、そのほかにも様々な業態の事業を立ち上げている。例えば、農村向け、高級品、卸売規模の小売りといったECサイトを自ら運営しており、O2O(on-line to off-line)タイプのコンビニ、O2Oタイプのスーパー、無人コンビニ事業などにも参入している。さらに、生鮮、主婦向け、化粧品、ブランド・ファッションなどに特化したEC事業に投資を行っている。
オフライン(実店舗)事業への投資にも積極的である。聯華スーパー、銀泰商業、新華都、三江購物、居然之家、蘇寧雲商から、オンライン出前代行サービスの餓了麼まで、多彩な消費関連事業に投資している。
小売り事業、レストラン(出前)、家具販売に加え、動画配信、音楽配信も、「独身の日」セールに参加する。