2012年末のアベノミクス相場のスタート以降、IPO(新規上場)市場は活況を呈してきたが、2018年のIPO市場はどのような展開になっているのか。投資サイト「IPOジャパン」編集長・西堀敬氏が、2018年9月までのIPO市場を総括し、以下のように分析する。
* * *
2018年の年初から9月30日までのIPO件数は60件となった。前3年の9月末までのIPO件数を見ると、2017年が55件、2016年が56件、2015年が62件。
2018年の年初から9月までにIPOした銘柄のパフォーマンスはどうだったか。全60銘柄で、上場後についた初値が公開価格を上回れば「勝ち」、下回れば「負け」、同値なら「分け」という基準による勝率を見ると、55勝4敗1分けで91.67%となり、2017年の年間を通しての勝率90.00%を上回っている。
また、初値が公開価格に対して何%上昇したかという「初値騰落率」もプラス127%と2倍を大きく超え、2017年の年間を通しての初値騰落率プラス112%を上回り、アベノミクスのスタート以降で最も高いパフォーマンスとなっている。
中でも、初値騰落率が高かったトップ3を挙げると、1位は4月20日に上場した人工知能(AI)を活用したインターネットサービスの開発・運営を手がけるHEROZ(東証マザーズ・4382)。公開価格4500円に対して、4万9000円の初値をつけ、初値騰落率は何と989%という驚異的な数字となった。
2位は、ソーシャルメディアや体験を通じたファン発見・活性化・分析アプリ「アンバサダープログラム」を展開するアジャイルメディア・ネットワーク(東証マザーズ・6573)の416%。3位は、継続課金の販売・管理プラットフォームを提供するビープラッツ(東証マザーズ・4381)の355%。さらに、トップ3以外にも公開価格に対して初値が4倍以上に跳ね上がった銘柄が3件あった。