ソフトバンクグループ傘下の携帯事業会社であるソフトバンクのIPO(新規上場)の時期が迫ってきた。投資サイト「IPOジャパン」編集長・西堀敬氏は、「ソフトバンクの上場は、IPO市場のみならず、日本の株式市場全体に大きな影響を及ぼしかねない」という。以下、西堀氏が解説する。
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ソフトバンクのIPO(新規上場)の時期は、2018年12月19日が予想される。このIPOでは、市場からの調達資金は約3兆円が見込まれそうだ。
前期決算でのNTTドコモの当期純利益(税引後利益)と比較すると、ソフトバンクの当期純利益はNTTドコモの約55%となっている。そのNTTドコモの時価総額は約11兆円なので、当期純利益の比率とNTTドコモと同程度のPER(株価収益率)という条件で試算すれば、上場した際のソフトバンクの時価総額は約6兆円と見積もれる。
現在は親会社のソフトバンクグループ(SBG)がソフトバンク株を100%保有しているが、IPOに際してSBGが保有株の約半分を売り出すとすれば、資金調達額は3兆円程度になっておかしくないと思われる。
そうなれば、ソフトバンクの上場は、1987年のNTT(資金調達額は約2兆2000億円)、1989年のNTTドコモ(約2兆1000億円)を超え、過去最大のIPOとなる可能性が高い。
これだけの大規模IPOとなると、まずは同時期に上場する銘柄は大きな影響を受けることを余儀なくされる。2018年のIPO市場は非常に好調で、9月末までにIPOしたほとんどの銘柄において、ブックビルディングに参加して公開価格で株式を取得できていれば、初値がついた時点で投資資金の2倍の利益が出ていたと考えられる。