港区麻布界隈に住む、セレブな「麻布妻」たち。場所柄か、「子供の英語教育」や「留学経験」など英語にまつわる会話が繰り広げられるケースが多いという。麻布妻でライターの高木希美氏が、自身が実際に目撃した2人の富裕層ママによる「怖~い英語トーク」の様子をリポートする。
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久しぶりに、ママ友の晴香さんと亜紀さん(ともに仮名)とお茶をしたときのこと。晴香さんは「旦那くんは外資系金融のエリート」を自慢し、亜紀さんは「夫はイギリス人」を自慢してくるマウンティングママさんたちです。2人が揃うので、マウンティング合戦が起きることは必至でした。
晴香さんが切り出しました。
「亜紀さんとこはなにかお稽古してるんですか? 希美さんちはお受験するんですか?」
亜紀さんは旦那さんがイギリス人ということもあり、お子さんを幼稚園の年齢からインターナショナルスクールに行かせると言っていました。亜紀さんが語ります。
「うちは旦那が話せるから私が日本語教えて、旦那が英語教えて。あと文化的なことはスクールで習ってもらうけど、なんで?」
そう聞き返された晴香さん、お稽古自慢が始まりました。
「うちの子忙しいんですぅ。旦那くんの方針もあって七田式(注・幼児教育の教室)にずっと通ってるじゃないですかぁ? 英語のレッスンも行くし、ヤマハも通い出して、週5でお稽古があるから。近いうちに公文も行かせようと思って。通わせるの大変だけど成果があるから、いいんです。りんごをみてアッポーて言うし、マンションのコンシェルジュにもバーイって言うし。
子供って、本当に小さい頃にどれだけ親がお金かけるかですよね。私たちのランクはお金には困らないじゃないですか? だからしてあげられることはしたいんですよぉ」
一気にしゃべり倒す晴香さん。この発言もマウンティングではありますが、それだけのお稽古に送り迎えしたり、それぞれの習い事でママ友さんとお付き合いしたりするのも大変でしょうから、素直に尊敬します。
ところが、それを聞いた亜紀さん。笑いながら、「アッポーとかバーイって習わなくても言わない?」。すると晴香さんは、こう返します。
「いや、明らかに習い出してからです。私、耳だけはすごいいいから。アッポーの発音がうちの子はネイティブぽくて。その点、亜紀さんて、旦那さん外国人だから発音ネイティブだし、いいですよね
うちは旦那くんまじペラペラだけど。うちの旦那くんって留学経験もないのにすごい話せるんですよ。うちも旦那くんには英語で話してもらおうかなあ?」
珍しく亜紀さんを素直に羨ましがったかと思いきや、“旦那くん自慢”が挟まりました。マウンティングママが2人になると、自慢の応酬になる。それが一部の麻布妻の生態です。
「じゃあご主人に頼んだら? お子さん、まだ日本語もままならないのに、英語にわざわざお金と時間をかけるなんて大変そうだねー。晴香さんちって、そんな英語が必要な環境にいる? インター行かせるの?」
「インターは旦那くんが反対するから行かせないんですよ。なんか我が強くなりそうで。ただ、将来は海外に住みたいから子供には話せるようになってもらわないと困るんです」
「将来は海外に住むんだ。それなら、晴香さん自身は話せるの?」