旅行や出張で初めて訪れる街に泊まる際、注意しなくてはならないのが宿の場所。東京で暮らす人間は「駅前=繁華街」と思いがちですが、地方へ行くと、駅とその街の繁華街が離れていることは珍しくありません。駅前に宿を取れば移動は何かと楽ですが、繁華街を見ずにその街を去るのも悔しいもの。中国・四国・九州地方で、JRの駅が繁華街から離れている街を紹介しましょう。
【広島(広島県広島市)】
中国地方を代表する都市で、日本有数の観光地でもある広島。確かに駅付近は栄えており、2009年に広島カープの新球場が駅のそばに完成したことで、その勢いは加速していますが、街の中心は、原爆ドームからほど近い紙屋町、八丁堀付近です。広島駅周辺にはホテルが何軒もありますが、新幹線で広島に来て、マツダスタジアムで野球を見て、駅ビルで食事を済ませるだけでは、“本当の広島”は見ていないということ。繁華街へは路面電車の“広電”で10分弱です。
【松山(愛媛県松山市)】
道後温泉、夏目漱石の『坊っちゃん』、松山城など、見どころが多い松山ですが、松山駅に降り立つと、駅がこぢんまりしていることに驚くかもしれません。松山の中心は、松山駅から路面電車で10分ほどの「大街道」付近。伊予鉄道の松山市駅の方が繁華街に近くなっています。前橋、横須賀、四日市、岡崎など、JRよりも私鉄の駅の方が繁華街に近い街は全国にいくつかありますが、松山もその1つに数えて良いでしょう。
【博多(福岡県福岡市)】
博多出張というと、サラリーマンは心ときめくものですが、全国に名だたる歓楽街「中洲」は、博多駅から地下鉄で2駅、商業的な中心の「天神」はさらに1駅離れています。博多駅付近も大変賑わっていますが、せっかく博多まで行ったなら、とりわけ男性なら中洲に足を運びたいはず。「駅付近も賑わっているものの、歓楽街は別の場所」という意味では、札幌とすすきのの関係に似ています。
【久留米(福岡県久留米市)】
松田聖子、チェッカーズ、田中麗奈、吉田羊など、多くの芸能人が輩出したことで知られる久留米。JR久留米駅は、2011年の九州新幹線の開業に伴い、新駅舎に建て替えられましたが、それまでは非常に素朴な駅でした。久留米市民が足として使うのはもっぱら西鉄で、街の中心も西鉄久留米駅付近。こちらも松山と同様に「JR<私鉄」というパワーバランスになっています。