現在の年金の給付水準では、生活費が足りなくなったり、医療費にお金がかかったりして「老後破産」に陥る人が少なくない。それなのに、そう遠くない未来に、年金給付額はさらに減らされ、現役時代の半分ほどの収入で暮らしていかなければならない現実が待ち受けている。
老後資金を増やすなら、タンス預金をしたり、銀行口座に貯めるだけなのはもったいない。銀行の利息も、スズメの涙ほどしかつかない。
そんな中、いま注目されている私的年金の1つが、『イデコ(iDeCo、個人型確定拠出年金)』だ。国が特別な優遇措置を設けている制度で、毎月少額ずつから、安心してお金を増やせるため、加入者が急増している。
イデコとは、毎月一定額を「掛け金」として金融機関に預けて、投資信託などの金融商品で運用しながら、将来、積み立てたお金を受け取るもの。20~60才までの人が加入できて、一度積み立て始めると60才まで引き出せない私的年金の1つだ。人気の大きな理由は、イデコの節税効果だ。掛け金は全額「所得控除」され、運用益も非課税。さらに、イデコを年金として受け取る際にも税金の控除を受けられる。
この3つの節税効果は数字にどう表れるのか。最初の「所得控除」について、ファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんが解説する。
「サラリーマンやパート主婦が働いて『収入』を得たら、その金額にしたがって、所得税・住民税がかかりますよね。イデコに掛け金を払うと、その金額分を『収入』から差し引いた上で、税金が計算されるので、結果的に所得税・住民税が安くなるんです」