2019年1月以降の相続の新ルール施行を前に、とりわけ関心が高いのが税にまつわる話題だ。少しでも税負担を軽くしたいと考えるのは自然なことだが、そもそも相続税の“払い過ぎ”が著しく多いという現実をご存じだろうか――。
本当は「ゼロ」で済んだのに……
昨年父親を亡くした50代の男性は、母親と弟と3人で遺産を相続した。
「もともと家族仲は良好で、世間で言う“争続”のようにはなりませんでしたが、父の退職金が残っていたことと、田舎とはいえ自宅の土地が広かったこともあって、相続税がかかった。
申告手続きは税理士に任せていたので安心しきっていたんですが、その後、“過払い”が多いと知人から聞いたんです。試しに別の税理士に相談してみたら、遺産総額がガラッと変わって、払ってしまった相続税が、実はゼロで済んだことがわかりました。還付申告をして、200万円近く返ってきた。気付かなければそのままだったわけですから、ゾッとします」
来年1月以降、改正民法の施行により相続制度が大きく変わる。
配偶者の権利を拡充したり、自筆遺言の一部をワープロ打ちできるようになるなど、現代の社会情勢に即した変更だ。2015年の基礎控除縮小で、かつて「お金持ちにだけかかる税金」だった相続税が、「普通の人も納める税金」へと変わったこともあり、相続分野への関心は一気に高まっている。