2019年1月以降、改正民法の施行により相続制度が大きく変わる。配偶者の権利を拡充したり、自筆遺言の一部をワープロ打ちできるようになるなど、現代の社会情勢に即した変更だ。2015年の基礎控除縮小で、かつて「お金持ちにだけかかる税金」だった相続税が、「普通の人も納める税金」へと変わったこともあり、相続分野への関心は一気に高まっている。
相続ではほとんどの場合、税理士に依頼することになる。税理士は言うなれば“税金のプロ”だ。にもかかわらず、過払いが多く起きているというのだ。
税理士が税金の計算でミスをすることはあまりないが、その前段階で、そもそもの仕事として相続については不慣れなために適切な財産評価ができないケースも多い。それが過払いの発生する最大の原因という。
とりわけ注意すべきが、不動産だ。国税庁のHPによると、相続税の課税対象となる人の財産の約40%を土地が占める。そこで評価を誤れば、必然、相続税額にも大きな差が生じる。
基本的に、不動産の評価額は、建物は固定資産税評価額で、土地は路線価をもとに計算される。税理士法人アレースの代表で『相続税は過払いが8割』(かんき出版)の著者・保手浜洋介氏が解説する。
「ただし、こと土地の評価は例外だらけです。同じ路線価、同じ面積の土地でも、まったく同じ土地は1つとしてありません。そして、その土地の個性によって評価額は大きく変わります。
特に、最近『旗竿地(*注)』と呼ばれる歪な形状の土地の場合、きれいな四角形の土地と比べて評価額が低くなるのが一般的です」
【*注/道路に面する間口が狭く、そこから伸びる細い敷地の先に袋地がある土地】