土地を「購入する側」の視点から見れば当然だろう。大抵の場合、歪な形の土地より、四角形に近い方を購入したいと思うものだ。
「そうなれば、土地の取引価格に差が生まれる。税務署は、そういった要因を相続税を計算する際の財産評価に“一定の範囲で反映できる”としています。
土地の形はもちろん、“近くを電車が走っていて騒音や振動がする”“お墓が隣にある”“極端に日当たりが悪い”“高圧線が上空を通っている”といったことも考慮に値します」(同前)
土地の形状や騒音、墓といった周辺環境は、一般人の視点からも比較的気付きやすい。にもかかわらず「過払いが8割」となってしまうのは、わかりにくい評価ミスのポイントが他にも多くあるからだ。保手浜氏が続ける。
「Aさんが、自分の所有する土地をBさんに貸し、Bさんが住宅を建てていたとします。土地はAさんのものですが、そこで生活している人がいる以上、売買に制限がかかります。Bさんには『借地権』という権利があるからです。
仮にこの状態でAさんが亡くなった場合、この権利相当分を、土地の評価額から差し引けるのです。地域によりますが、一般に6~7割程度。仮に1億円の土地だったとしたら、評価額が4000万円ほどに下がるわけですが、相続財産の評価時にこの条件が漏れているケースがある。そうなると相続税額が1000万円単位で安くなることもあります」
所有する土地でアパート経営をしていた場合、借地権と似たような考え方で、住人に借家権が生まれる。こちらは全国一律で3割、アパート(建物)の評価額を下げられるものだが、忘れられている場合も多いという。
※週刊ポスト2018年11月9日号