遺産相続では必要となる書類も多く、土地の登記簿謄本なども揃えなければならないことから、ほとんどの場合税理士に依頼することになる。税理士に任せれば安心のはずだが、実際には過払いが多く起きているというのだ。
税理士が税金の計算でミスをすることはあまりないが、そもそも遺産相続の案件に携わる機会が少ないため、不慣れなために不動産などの適切な財産評価ができないケースも多い。それが過払いの発生する最大の原因という。
不動産の評価以外にも、相続税の過払いに繋がる見逃しはある。税理士法人アレースの代表で『相続税は過払いが8割』(かんき出版)の著者・保手浜洋介氏が解説する。
「故人がクレジットカードで支払っていた代金などは、翌月口座から引き落とされます。相続が発生した瞬間には預金としてあったお金でも、支払うことが決まっているわけですから、相続財産とは見なしません。ですが、これを合算してしまっているケースが見受けられる。公共料金の支払いなどもありますね。生前故人が使用し、亡くなったあとに支払うわけですから、相続することができないお金というわけです」
金額が大きくないだけに、不動産の評価間違いほど相続税には影響しないが、それでもゼロではない。
「適切に控除が用いられていない場合もあります。例えば、相続税には障害者控除があります。85歳までの残り年数によって、一般障害者であれば年10万円の控除が受けられるんです」(同前)