超高齢社会を迎え、年間死者数が130万人を超える日本は、「相続トラブル大国」でもある。故人の財産を巡る諍いは今日もどこかで起きている。40年ぶりの相続制度改正を2か月後に控えた今、激烈すぎる遺産相続トラブルのエピソードを特集した専門誌が話題を呼んでいる。背筋が寒くなるような「争続」実例から学べることは多い。
サスペンスドラマが現実に
新聞を開くと、おどろおどろしい言葉が飛び込んできた。
〈弟が狙う3億円の駐車場を守った兄の秘策〉
〈遺産2億円の分割で弟妹を説き伏せ全不動産を相続〉
月刊誌『家主と地主』の新聞広告に躍る相続トラブル事例だ。『家主と地主』(創刊は2003年)は不動産投資や賃貸経営についての情報を提供する雑誌だが、広告の強烈さは家主や地主以外の人々の間でも話題になった。〈サスペンスドラマかと思った〉〈闇が深すぎる〉〈思わず書店に買いに行った(笑)〉と、ネット上でも大いに反響を呼んでいる。
「40年ぶりの民法改正もあり、最近は『相続』が特にキラーコンテンツになっています。弊誌は業界紙(全国賃貸住宅新聞)時代から含めると30年の歴史があり、全国で家主やマンションオーナーとネットワークがあるので、不動産相続に関してもいろんなエピソードが集まるんです」
そう語るのは、同誌編集長の永井ゆかり氏。冒頭で紹介した新聞広告の文言は、全て永井編集長が書いている。最新の11月号では〈相続の理不尽に打ち勝つ骨肉の争い解決法〉と題して、相続の大特集を組んだところ、早くも完売ペースで売れているそうだ。