冒頭で紹介した『家主と地主』の見出しのひとつ、〈弟が狙う3億円の駐車場を守った兄の秘策〉も、兄弟の相続争いを扱った記事である。
母と生前に取り決めた遺産分配協議で、母の所有する300平方メートル(3億円相当)の駐車場を長男が相続し、40戸のマンション1棟を次男が相続することで合意。捺印済みの覚書も交わしたが、次男が約束を反故にし、駐車場の相続権利まで求めて母にその旨の遺言を書くよう強要する……という内容だ。
長男は事前に母の合意を得た上で、相続時精算課税制度(60歳以上の贈与者が20歳以上の子供に生前贈与する際、2500万円まで非課税になること)を使い、駐車場の土地名義を事前に自分に変更。贈与税を圧縮しつつ、次男の“資産侵犯”を防いだ。
“知識”で争いを乗り切った事例として紹介されている。
※週刊ポスト2018年11月16日号