「春闘」の廃止
近年、春闘の形骸化が著しいが「孫氏はそもそも『春闘廃止』を打ち出すのではないか」との見方がある。専門誌『経済界』編集局長の関慎夫氏が解説する。
「事実、ソフトバンクは経団連に加盟しながら春闘に参加していないし、そもそもソフトバンクに労組はありません。連結子会社の一部に労働組合があるが、組織率は非常に低い」
孫氏は、自らが必要とする人材に惜しみなく報酬を支払ってきた。2014年9月に孫氏が“後継候補”に指名したニケシュ・アローラ氏を副社長に迎えた際には、165億円を支払っている(2015年3月期)。在任期間1年10か月の報酬は420億円にものぼる。
「必要な人材には相応の報酬を支払うというのが孫氏の基本的な考え方で、そもそも彼の頭の中には横並びで給料が決まるという発想がないのだと思います。ましてや業界各社が横並びでベースアップやボーナスを求める春闘はナンセンスに映っているはず」(同前)
「新卒一括採用」も廃止
現在、経団連が“存在感”を見せているのが大学生の採用指針の見直しだ。新卒一括採用などの「就活ルール廃止」を2021年から断行するものだが、ソフトバンクは既に2015年から「ユニバーサル採用」を実施し、通年採用を実施している。
「新卒・既卒を問わず募集対象とし、一度就職をした人でも再挑戦できる制度です。傘下のヤフーも『ポテンシャル採用』という名称で、通年採用を導入済み。現に外資系企業などは既にルールを無視している。“孫会長”が『もういらない』という判断を下しても不思議はない」(経済ジャーナリスト)