会社員にとって昼ごはんは大事なイベント。外資系企業の中には、福利厚生の一環として社員食堂の充実を掲げる会社も多いが、中には“社食”が社員のストレスになっているケースもあるようだ。ビジネスシーンの最前線で働く社会人たちに、社食について聞いてみた。ミホさん(30代/メーカー)の会社には、いかにも前時代的な社員食堂があったそうだ。
「ウチの会社には役員専用の社員食堂がありました。私も役員への用事があって入ったことがありますが、あからさまに絨毯がフカフカで……。ワイングラスがぶらさがっていて、高級バーのようなカウンターもありました。古い会社なので、バブルの名残ですかね」
フカフカ絨毯で優雅なランチとは羨ましい限りだが、ヨシオさん(50代/建設)の会社の社員食堂は、“毎日が戦争”だという。
「事務所が繁華街から離れた所にあるので、昼ごはんは弁当か社員食堂しか選択肢がありません。社員食堂の一番人気はカレーライスで、価格も200円と良心的ですが、問題はセルフサービスだということ。若手社員が、少しでも腹を満たそうと具をたっぷり取ってしまうので、出足が遅れると、お玉でどれだけすくっても、具がまったくないのです」
昼食休憩のベルが鳴るやいなや、まるで高校生のように食堂まで走る者もいるとか。その一方で、ユキオさん(40代/土木)の会社の社員食堂はいつもガラガラだそうだ。なぜ?
「社員食堂といえば普通は安いはずですが、ウチの社員食堂は800円もします。牛丼の吉野家は『うまい・安い・早い』ですが、ウチの社員食堂は『マズい・高い・遅い』で有名。しかも『少ない』ので、いつもガラガラです。たまに社員食堂の話になると、社員が言うことはみな同じで、『昔、1回だけ行った』『もう2度と行かない』。それでもつぶれないのは、創業家のファミリー企業が経営しているからという噂です」