トランプ大統領就任以降、アメリカにおける「分断」が取り沙汰されているが、「分断」は日本社会にも数多く存在するだろう。そのひとつが「地元に対するこだわり」ではないか、言うのはネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。いわゆる「地元」にまったくこだわりがないという中川氏が、自身の思うところを述べる。
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最近、色々な人と対談をする機会に恵まれているのですが、その時によくテーマになるのが「地元愛」です。現在、私が会う方々はほとんどが「東京に住むor働くIT・出版・広告・メディア領域及びフリーランスの方々」となります。
こうしたクラスタが全国的にはマイノリティであるのは分かりますが、その一方で、世間様に出すメディアの論調を作っているのもこういった人々であることが多い。日本の「論調」とか「流行」が東京の一部の「情報感度の高い人々」によって作られ、東京発のメディア(ウェブも含める)から全国に流通しているのが実情なのです。
マスメディアもネットも含め、東京のごく一部の人々が作り上げた論調が日本全国に影響を与えていることに是非があることは十分理解したうえで、今回の原稿を書かせていただきます。
この「東京に住むor働くIT・出版・広告・メディア領域及びフリーランスの方々」は、地方出身者も昔から東京に住んでいる人も両方いますが、大まかに言えば、地元にこだわりを持っていないケースが多いのではないでしょうか。だからこそ昔からの地元の仲間とつるむ人たちを半ば揶揄するような「マイルドヤンキー」みたいな言葉を産みだす人がいたり、アルフォードに乗って、EXILEが大好きな人を別世界の人扱いをしたりする人もする。
さらには、庭で地元の仲間とBBQをやり、隣人とトラブルになった人を勝手にDQN(ドキュン=素行の悪いバカ)扱いをし、ネットで叩きまくる人も出てくる。ここには「地元にこだわりがない」vs「地元愛を大事にする」という日本における「分断」が現れているのではないか、と最近感じます。