日本にいると、「オイルマネーの凄まじさ」はニュースで見聞きするくらいだが、世界中から富裕層が集まるシンガポールでは違うようだ。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)の著者で、当地に住むファイナンシャル・プランナーの花輪陽子氏が「ヒジャブをつけた女性たちの爆買い」をリポートする。
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シンガポールの中心部、オーチャードの高級ショッピングモールを散歩していた時のこと。あるデザイナーズブランドが、店舗の前でイベント展示をしていました。バッグや靴を展示する、イベント専用の仮設店舗を作っていたのですが、そこには髪の毛を覆うヒジャブや全身にまとうアバヤをつけた女性のグループが溢れていました。顔しか見えないものの、長身で目鼻立ちが整っていてモデルのような美しい女性たちでした。
「ヒジャブやアバヤの下は超ド派手」と噂では聞いていたものの、実際に高級なアクセサリーやデザイナーズブランドで固める人は多いようです。
しばらく見ていると、そのうちの何人かは、店員にあれこれと指図して、次から次へとバッグや靴を持って来させ、さらには他のお客さんが手に持っている商品まで横から手を出して買おうとしています。中華系の富裕層の中には、他のお客さんが手に持ってお会計を待っているものまで奪おうとする人もいるので驚きはしませんでしたが、そうした様子に慣れていない日本人からすると、びっくりしてしまうような光景かもしれません。
シンガポールにはこのように、中東の超富裕層も高級ブランドを爆買いに来ます。東京・銀座ではあまり見かけない光景ですが、シンガポールでは日本よりも英語が通じることもあって、オイルマネーを背景にした富裕層が数多くショッピングに来るようです。