この国家的な危機から脱して子や孫にツケ送りをしないためには、政治家が日本の財政のシリアスな現状を国民に訴え、それを消費増税で一刻も早く改善して将来世代が苦しまないようにしなければならない、と真摯に説明する必要がある。
ところが、そういう説明は全くない。これは政治家の怠慢であり、要するに「上げるけど下げるのもあるので……」という今回の消費増税には何の哲学も理念もないのである。そのくせ、早くも補正予算を組んで景気対策の名を借りた選挙対策をやり、ありえない無駄遣いを続けようとしているのだから言語道断だ。
こんないい加減な政府に、国民は踊らされてはならない。住宅や車、大型家電などの高額商品は消費税が10%になる前に買おうという「駆け込み需要」が起きると言われているが、慌てることはない。増税後は駆け込み需要の反動で消費が大幅に減少し、それらの高額商品は2%どころか10%も20%も値下がりすると思われるからだ。
これまで何度も「ふるさと納税制度」を批判したが、とにかく日本の税金論議は目線が低すぎる。日本人は税金についてもっと正面から取り組まないと、遠からず国が滅びてしまうだろう。
※週刊ポスト2018年11月23日号