医者の診断を受けて薬の処方箋を出してもらい、調剤薬局で購入する──当たり前の流れに思えるが、そこに “余計な出費”が生まれることを忘れてはいけない。話題の新刊『払ってはいけない』の著者で経済ジャーナリストの荻原博子氏は、「同じ処方箋の薬でも薬局のある場所によって支払う薬代は違ってきます」と注意を促す。
薬局はその場所によって、病院内にある「院内薬局」、病院敷地内にあるが病院が運営していない「門内薬局」、病院の近くにある「門前薬局」、それ以外の「一般薬局」の4つに分かれている。
病院からの独立性が高い薬局を保護するために、薬代に加算される「調剤基本料」は病院から遠いほど高くなる。そのため、病院と一体化した「院内薬局」が一番安くなっているのだ。
医薬品の値段そのものはどこで買っても一緒であるものの、調剤基本料は院内薬局の80円に対し、院外薬局(門内・門前・一般薬局)は薬局の立地や規模などで異なる。門内薬局は100円、門前薬局は処方箋の受け付け回数が月間4万回以上の大型チェーンだと200円で、経営規模が小さいほど高くなっていく。
最も高いのが処方箋受け付け回数が月間4万回以下の個人経営の一般薬局で、410円に設定されている。同じ薬を処方してもらうなら、院内薬局の方が安く済むということだ。
たとえば同じ薬を月に1回院内薬局で処方してもらっていると、一般薬局と比べて年間で3960円安く済むことになる。頻度が高いほど、その差は大きくなり、5年、10年と積み重なれば馬鹿にならない額になってくる。