大手銀行をはじめとする金融機関を取り巻く経営環境は急速に変化し、各行はその対応を余儀なくされている。そして、それに伴う変化の波は預金者のところにも押し寄せている。全国の支店の統廃合に加えて、メガバンクのATM共通化の動きも急ピッチで進められている。
そうしたなかで、利用者も振り込みや送金の方法を改めて考えなければいけない時代になっている。話題の新刊『払ってはいけない』の著者で経済ジャーナリストの荻原博子氏はこういう。
「銀行の窓口に行っても、得にはならないという認識が必要になってきました。とくに、振り込みをするならインターネットバンキングが明らかに有利になっているのです」
たとえば、メガバンク最大手の三菱UFJ銀行の振込手数料を見ると、窓口手数料は最低で324円、最高で864円(他行宛3万円以上)。ATM(現金)だと、216~648円がかかる。それに対して、インターネットバンキングでは自行宛はすべて無料で、他行宛のみ3万円未満で216円、3万円以上で324円となっている。
100万円を定期預金に入れたときの利息が年間100円に過ぎない超低金利時代において、たった1件の振り込みで500円以上の差がつくこともあるのだ。
ネット振り込みに抵抗感があっても、「銀行側がインターネットバンキングに誘導しようという意図を鮮明にしている以上、預金者もそれを上手に利用したほうがいい」と荻原氏は強調する。
「たとえば、朝一番で振り込みをしなければいけない用件があった場合、その前の晩の真夜中にでもネットから手続きしておけば、自分は翌朝寝ていても振り込みが完了しているといった利便性の高さは見逃せません」(同前)