2019年1月から、相続のルールが40年ぶりに大きく変わる。そのポイントは、「女性にとって有利な制度になる」ということ。今回の法改正で新設された「配偶者居住権」を上手に活用すれば、妻の大きなメリットになる。1万4000件以上の相談を受けた経験を持つ、相続コーディネーターの曽根恵子さんが解説する。
「夫が8000万円相当の自宅と、4000万円の現金を遺して亡くなり、それを65才の妻と2人の子供が相続するケースで考えてみます。妻が自宅を相続する場合、法定相続分から算出すると、子に3000万円ずつ、計6000万円の現金を渡さねばなりません。しかし、現金は4000万円しかないため、自宅を売却して現金を作らざるを得ませんでした。
そんな時に役立つのが『配偶者居住権』です。妻は『居住権』を選択すると、死ぬまで自宅に住み続けながら、預金の半分の2000万円を相続できます。一方、子供2人は『所有権』の半分の2000万円ずつと預金1000万円ずつを相続することになります」
居住権は、結婚期間が「20年以上」と比較的長期に条件が設定されている。これは、「後妻業」対策だとされる。
「結婚年数の浅い後妻さんが居住権を使えると、自宅に住み続けながら、多額の現金まで相続できることになります。先妻の子供たちは理不尽な思いをするでしょう」(曽根さん)