人生100年時代を迎えるなかで、老後の生活設計の柱であるはずの「公的年金」に対する不安が大きくなっている。経済状況によって受給額が調整されるマクロ経済スライド方式が導入された上に、受給開始年齢の引き上げも現実味を帯びてきた。
そうしたなかで注目を集める年金タイプの金融商品の一つに「個人年金保険」がある。
払込期間(一般的には60歳まで)に保険料を支払うことで、契約時に定めた年齢に達した時点から一定期間または一生涯にわたって年金を受け取れる貯蓄型の保険だ。
老後資金への不安を解消するための方策の一つとされているが、話題の新刊『払ってはいけない』の著者で経済ジャーナリストの荻原博子氏は「個人年金に加入することで、新たに発生するリスクがあることも知っておいてほしい」と警鐘を鳴らす。
個人年金には、大きく2つのタイプがある。「今、月々××円払えば、将来必ず毎月○○円もらえる」という「従来型の個人年金」と、支払った保険料を運用し、その結果次第で将来もらえる金額が変わる「変額型の個人年金」だ。
「従来型の個人年金でいうと、30年前は運用利回り(予定利率)が年5%台だったのである程度のうまみもありましたが、いま加入しても予定利率は年利にして1%前後に過ぎず、お金はほとんど増えないのです」(荻原氏)
たとえ年利1%であったとしても、“利子が0.01%しかつかない銀行の定期預金よりはマシだろう”と思うかもしれないが、そうとも限らない。