「消えた年金」や「納め過ぎた相続税」など、手続きを踏むことで“本当は取り戻せるお金”は数多く存在しているが、自治体の「取り過ぎ」が問題化しているのが固定資産税だ。
2017年12月、東京都内の男性が都税事務所の計算ミスで過大に徴収されたと国家賠償を求めた裁判で、東京地裁は15年分で約540万円の支払いを都に命じている。
総務省の調査では、固定資産税の取り過ぎで減額修正されたのは全国で25万件以上(2009~2011年分)にのぼり、自治体に点検を指示したが、その後も横浜市、名古屋市、岡山市など全国で取り過ぎが発覚している。
千葉県佐倉市では今年9月、マンション1棟(414戸)から4年分で約1948万円も取り過ぎていたことが発覚。加算金を含めた全額返金を決めた。香川県仲多度郡まんのう町ではこの11月、住宅1軒から35年間で129万円を過大徴収していたと発表した。
原因の大半は自治体側の計算違いや減免措置の適用漏れという単純ミスだった。税理士で不動産鑑定士の下崎寛氏が指摘する。
「土地の固定資産税過大徴収で多いのは、減免対象の住宅用地なのに“非住宅用地”とされて3倍以上の税額を請求されるケースです。また、古くて不正確な公図を使って計算した結果、土地の間口や奥行きが間違って評価されたケースも少なくない。
家屋部分は、建て替えやリフォームをきっかけとした評価替えの際に計算ミスが起きやすい。家屋の床面積にバルコニーまで含めて計算されてしまった事例もありました」