ホテル業界が近年、激変している。外国人観光客の急激な増加もあり、外資系と国内系の高級ホテルが鎬を削っているのだ。代々、有名ホテルを経営している家に生まれ、小さい頃から多くのホテルを見てきた女子大生コラムニスト・小林千花氏が、外資系の高級ホテル「フォーシーズンズ」のラウンジについてリポートする。
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京都・東山にあるフォーシーズンズホテル京都は、2年前に開業したばかりのラグジュアリーホテルだ。日本国内の「フォーシーズンズ」は、東京駅にほど近い「フォーシーズンズホテル丸の内東京」と、「京都」の2つ。以前は同「椿山荘東京」もあったが、こちらは経営する藤田観光との提携が2012年に解消されている。
今回、京都を訪れたついでに、同ホテルのラウンジを利用した。そこは、同じ系列ながらも「丸の内東京」とは一味違った空間が広がっていた。
メインダイニングは、高さ9メートルの大きな窓の外に、日本庭園が広がっている。名庭「積翠園」だ。平安末期の庭園と言われ、所有者が転々と変わったが、今は同ホテルの一部となった。テラス席やバーカウンターが備えられ、私はテラス席に座った。注文したのはアールグレー(1500円)。
周囲からは英語をはじめ多くの国々の言葉が聞こえてくる。京都の観光地は人でごった返しているが、そこは余裕を持った配置のラグジュアリーホテル、庭園の風景も取り入れてうまく「非日常」を演出している。
そういえば椿山荘も「庭」で有名だが、フォーシーズンズはこうした歴史ある空間を活かして雰囲気を作るのは得意なのかもしれない。
私がラウンジを利用する際に注目するポイントは、「ドラマチック」かどうかだ。つまり「非日常」である。街中の喫茶店よりは高いが、コーヒー1杯が自分の中で体験として記憶に残り、映画1回見るくらいのコストと30分ほどの時間で「非日常」を味わうことができる。それは貴重な空間だろう。