人生100年時代は定年後も長い。年金に頼る生活への不安から、“働ける間は働く”が常識となりつつある。そうした「再就職活動」にかかったお金が雇用保険から返ってくるケースがある。
ハローワークを通じて紹介された事業者が遠方の場合に支給を受けられる「広域求職活動費」だ。社会保険労務士の蒲島竜也氏が説明する。
「紹介された会社の所在地が、自分が住んでいる地域のハローワークから往復で200km以上ある場合、面接などのためにかかる交通費が実費で支給される制度です。同じく400km以上の距離になると宿泊費も受け取ることができるようになります。
以前は適用の要件がもっと厳しかったのですが、地方創生が叫ばれる流れのなかで、生まれ故郷に戻る『Uターン』や故郷の近くに生活基盤を移す『Jターン』を促進する意味もあって緩和されており、使いやすい制度になってきた。
定年や早期退職した後に、生まれ育った地域に戻って暮らしていきたいという人は少なくありませんが、そうした人たちにとっては、利用するチャンスは広がっているといえるでしょう」
往復200kmというと、東京から宇都宮、甲府あたりより遠ければ該当することになる。もちろん、「Iターン(出身地とは別の地方に移り住む)」を想定した求職活動にあたっても使うことができる。