前例がない強力な台風で備えようがない場合には、通常の安全性だと対応できませんから、瑕疵は認められません。ただし、通常経験する台風で瓦などの建物の一部が飛んでしまうと、瑕疵が認められる可能性もあります。
ご相談の庭に置かれただけの椅子は土地の工作物ではないので、普通の不法行為の成否が問題になります。したがって椅子が飛ばされ、あなたの財産に損害を与えたことについては、持ち主に故意過失があれば、不法行為責任を問うことができます。
台風の接近が報じられ、防災の必要も周知されており、椅子が強風で飛ばされることは予見できたはずで、野外に規制もなく置いておいたのなら、過失があったといえそうです。よって損害賠償を求めることができると思われます。
【弁護士プロフィール】竹下正己(たけした・まさみ):1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2018年11月30日号