2019年1月から、相続のルールが40年ぶりに大きく変わる。義理の親を介護した妻が遺産を受け取れるようになったり、夫が亡くなった後に妻が自宅に住み続けることができる「配偶者居住権」などが認められるようになる。女性にとってメリットの大きいルール改正と言えるだろう。
それ以外にも改正点は少なくない。スムーズな相続に欠かせない「遺言書」の書き方のルールも変わるのだ。『相続税は過払いが8割』の著者で、税理士法人アレース代表の保手浜洋介さんが説明する。
「これまで遺言書は、保有している不動産や預貯金などを、細かく一覧にまとめた『財産目録』を手書きで書く必要がありましたが、今後はパソコンで作成できるようになりました。 財産目録に株式や不動産が入っている場合、証券番号や地番などの数字を書き間違えたり、誤字脱字も起きやすく、一字間違えただけで無効になることも多々ありました。高齢になるとすべて手書きするのは負担が大きく、作成が困難な場合もありましたが、これが格段に解消されます」
「どの資産を誰に相続する」といった遺言書の本文は、従来通り、本人の手書きで作成する必要があるが、財産目録は、預金通帳のコピーや、不動産登記簿、固定資産税の評価証明書などを添付してもよいため、それらの書類が揃うなら目録の作成も必要なくなる。
専門家の多くは、「遺産相続トラブルのほとんどは、遺言書を作っていなかったことが原因」と口を揃える。しかし、遺言書の重要性はわかっていても、そうした細々とした作業を嫌がり、遺言書を作成しない夫は多いもの。
そういう時こそ“内助の功”の出番だ。役所から届いた夫宛ての通知書や預金通帳の管理などは、普段から任されている妻も多いはず。記載する資産に関係する書類を徹底的に準備し、パソコンで財産目録の作成まで妻がやっておけば、夫も重い腰を上げざるを得なくなる。