歳を取るたび、病院に行くたびに薬が増えていくと嘆く人は多いだろう。厚労省の調査によると、75歳以上の4人に1人が毎日7種類以上の薬を飲んでいる。
寿命が90歳、100歳へと延びることは、この先10年、20年と同じ薬と付き合っていくことを意味する。とはいえ、薬を飲み続けることに疑問を感じている高齢者は少なくないはずだ。薬を飲み忘れて大量に余っていても、「とくに体調に変化はない。本当に必要なのだろうか」と感じることはよくある。
注意したいのは、薬の中には加齢とともに「効果が薄くなるもの」や「飲み続ける必要がないのにマンネリで処方されるもの」があることだ。『誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方』の著者で北品川藤クリニック院長の石原藤樹医師が語る。
「同じ薬であっても、年齢によって処方の考え方は変わります。高齢になるほど代謝機能が落ちてしまうため、狙った治療効果が得られなかったり、逆に、薬が効きすぎて健康を害する怖れがあります。高齢者にはなるべく薬を減らすというのが医療界の流れですが、昔の名残もあり、高齢者が不必要な出費を強いられているケースが目立つ」
糖尿病薬も降圧剤も
では、どんな薬が対象になるのか。石原氏が「75歳」で服用を見直す薬にあげるのが糖尿病治療薬の「SU剤」と「インスリン注射」だ。