投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が12月10日~12月14日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円はもみ合いか。米連邦公開市場委員会(FOMC)会合を今月18-19日に控え、インフレ指標が市場予想を上回った場合、12月の追加利上げを完全に織り込む展開となりそうだ。ただ、米長短金利差逆転の可能性が指摘されており、経済成長の減速感が表れ始めていることから、リスク回避のドル売りがやや強まる場面があるかもしれない。
11月の生産者物価指数と消費者物価指数が市場予想と一致した場合、米連邦準備制度理事会(FRB)は18-19日開催するFOMCの会合で今年4回目の利上げに踏み切る公算。インフレ鈍化の懸念はなく、ドル買いが緩やかに進むとみられる。
ただ、前回11月7-8日開催のFOMC会合では、足元の好調な経済を背景に引き締め姿勢を維持しながらも、中立的な水準への到達が速まるとの見方から、利上げ停止時期などについて議論したことが明らかになった。また、10年債利回りの低下で目先の減速感が意識される。足元では原油安も目立っており、米株式市場ではエネルギー株などが売られ、株価指数は圧迫される可能性がある。長期金利の低下や不安定な株価はドル売りにつながりやすい。
一方、米中貿易摩擦の再燃も懸念材料として浮上している。報道によると、カナダ捜査当局は5日、米国の要請を受けファーウェイの最高財務責任者(CFO)を対イラン制裁に違反した容疑により逮捕した。今後捜査が進展し、米国と中国の対立が深まれば円買いに振れやすいだろう。
ただし、欧州発のリスク要因はドル買いと円買いにつながる可能性がある。ドル・円の値動きは小幅になりそうだが、11日に予定される英国議会でメイ政権の欧州連合(EU)離脱案が承認されなければ英政局は流動化し、欧州通貨は乱高下が見込まれる。安全通貨として対円でもドル買いが優勢となるか、あるいはクロス円レート下落の影響を受けてドル売り・円買いが優勢となるかは、米国の株価動向や長期金利次第で決まるだろう。
【米・11月消費者物価指数(CPI)】(12日発表予定)
10月は前年比+2.5%、コア指数は同比+2.1%となった。11月のコアインフレ率が鈍化した場合、来年以降の利上げペースに影響しそうだ。
【米・11月小売売上高】(14日発表予定)
14日発表の11月小売売上高は前月比+0.2%と、10月の+0.8%との比較で伸びは鈍化する見通し。米国経済の減速が意識されるなか、ブラックフライデーの売上は過去最高とも伝えられており、拡大基調の維持が裏づけられればドル買い要因になりそうだ。