人生100年時代が迫る中、生活するための資産にも、“延命措置”が必要になる。「人生80年」を前提にした生活設計からの“発想の転換”が求められるからだ。それは年金や健康についても言えることだ。
【「年金」を減らして得する】
国や自治体の制度には、「高額療養費」「高額介護サービス費」「高額介護合算療養費」など、支払った医療費や介護費用が戻ってくる制度がある。長生きするほどリスクが大きくなる“入院破産”を防ぐために、もらえるものは何でも申請したい。
実は、その還付金を最大にするために、「年金を減らす」という逆転の発想が選択肢になり得る。
「夫の年金が年間211万円以下で妻が国民年金の場合、大都市圏の自治体では『世帯全員住民税非課税』となり、医療や介護の保険料が大幅に安くなる。そのうえ、高額療養費などの還付基準が下がり、同じ医療費を支払っても還付される金額が大きくなる」(ベテラン社労士)
あえて繰り上げ受給で年金額を211万円以下にして税・保険料負担を下げた上で、高額療養費などの“特典”を最大限に受ける――長生きするほど病気リスクが大きくなる以上、人によってはそんな考え方さえ成立するようになる。