「平成最後の年」は年金、医療、介護の“三位一体”の社会保障制度大改革が行なわれる。
団塊世代が75歳の「後期高齢者」入りし始める2022年には国の社会保障費支払いが急増し、いよいよ財政がもたなくなる。そこで政府は「人生100年時代」を掲げて2020年までの集中改革期間に3分野それぞれの制度を抜本的に見直し、異例のスピードで実施していく方針だ。
改革は「高齢者への給付を減らし、負担を増やす」という原則で行なわれる。
まず、年金が真っ先に減らされる。折しも、2019年は「平成31年財政検証」と呼ばれる5年に1度の制度改革の年だ。ここで「年金70歳支給」が決められ、さらに「75歳支給」まで方向づけられる。“年金博士”として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏が指摘する。
「過去の年金改革は高齢者への年金支給額を少しずつ減らすとともに、現役世代が払う保険料を値上げするやり方だったが、それも限界。なぜかというと、年金の保険料は15年かけて毎年段階的に引き上げられ、2017年に上限である給料(標準報酬)の18.3%で固定された。
現役世代は給料が増えていないうえ、年金に加えて健康保険や介護保険の保険料も払わなければならない。政府は当面、現役世代にこれ以上の負担を求めるのは難しいと考えており、次の年金改革は高齢者への支給減額に重点が置かれるのは間違いない。年金支給開始年齢の70歳への引き上げはすでに既定路線といっていいが、それだけでは年金財政は賄えない。『年金受給は75歳から』という水準も念頭に置いていると思います」