その保険、本当に入る必要があるのだろうか? 保険に関する多数の著書がある「保険相談室」代表の後田亨さんが、保険に関するさまざまな悩み相談に回答する。今回は、医療保険への加入について悩むケースだ。
【相談者】武井さん(鹿児島県在住)夫45才・妻40才・子供2人(中学生と高校生)
「働き盛りの夫に何かあってはと思い、入院・手術を受けた時に給付金が出る医療保険に加入しました。最近、テレビCMも多いから、人気なんでしょうね」
【回答】
子供のいない世帯や単身世帯が増えたことで加入者が激減している死亡保険の替わりに、保険会社が儲かるビジネスとして力を入れているのが、「生きている間のリスクに備える」と謳う医療保険だ。保険会社のCMでは、医療保険に入っていないと、高額な医療費が降りかかってくると不安をあおるものも多い。
しかし、医療保険は必ずしも必要ないと後田さんはいう。
「原則、全国民が入っている健康保険には『高額療養費制度』という優れた制度があります。これは、治療費に何十万円、何百万円かかっても、自己負担額の上限を超えたら超過分が払い戻されるというもの。所得により差がありますが、平均的な世帯なら、たとえ月に100万円の治療費がかかっても自己負担額は8万7430円で済みます。
約9万円を自分で払えば手数料はゼロですが、医療保険の保険料には数十%の手数料が含まれています。9万円のために10数万円払うようなものなので、保険会社の人は医療保険に入りたがりません」