世界中から富裕層が集まるシンガポールでは、インスタグラムで高級ブランド品の包装を解き、箱から取り出す動画が流行しているという。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)の著者で、当地に住むファイナンシャル・プランナーの花輪陽子氏がそのブームの背景をリポートする。
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「物質至上主義」とも言えるシンガポール。人の本質ではなくうわべを見て判断する「キアス」という気質が背景にあるとされていますが、周囲の皆がブランドのロゴを好んでいると、「私も持たなきゃ?!」と“洗脳”されてしまうこともあります。かつて、大学進学のために田舎から上京してきた時に慌ててブランドバッグを購入した経験がありますが、シンガポールでもそんな気分になりました。
私は中古でブランド品を買ったのですが、富裕層のインスタグラムでは、正規店からブランド品を購入しているのを自慢する投稿が目立ちます。中でも、高級ブランドバッグなどを正規店で買って、袋から取り出し、リボンを解いて箱からバッグを取り出して見せるという動画が流行っているのです。“開封の儀”という類のものです。
もちろん購入を予定している(ごく一部の)人にとっては参考になるかもしれません。ですが、「私は正規店で買ったのよ!」「これは正真正銘、私の物よ!」という自慢にしか見えない人も多いのではないでしょうか。日本では顰蹙を買いそうな投稿ですが、新興アジアやアメリカではよくある投稿で、そういう動画を見る人や「いいね!」を押す人も多いから驚かされます。
また、ティーンエイジャーでも「ブランド品開封動画」をインスタにアップする人が少なくありません。バッグをただ単に持っている写真だと友達から借りているだけかもしれないので、自分で買ったことを証明したいのではないでしょうか。
そうした動画が流行するのも、「盛る」人が多いからでしょう。