「そういう時は、感情面と経済的な現実を切り分ける必要があります。保険会社は『今から必要になりますよ』と感情に訴えかけるかもしれませんが、冷静になりましょう。子供が自立するまでの間に死亡するのと違って、入院・介護はありがちなこと。よく起こることを保険で備えるのは、それだけ保険料が高くなるため家計を圧迫します。今後の保険料負担を考えれば、すぐに解約すべきです」
死亡保険は、夫が会社員ならそもそも加入しなくてよい場合もある。
「死亡保険に加入する前に、『遺族年金』をどれくらい受け取れるか確認しましょう。会社員の遺族には、勤務先の福利厚生制度から弔意金や育英年金が給付されることもあります。大手企業の社員の場合、民間の保険が不要なこともあるのです」(後田さん)
自営業者などの国民年金の加入者が死亡した場合、遺族に「遺族基礎年金」が支払われる。年額約77万9300円で、子供1人(18才まで)につき約22万4300円が加算される。
厚生年金に加入していれば「遺族厚生年金」も加算される。生前の収入や加入期間によって異なるが、国民年金のおよそ4分の3が受け取れる。また、子供のいない妻(40才以上65才未満)の場合、月額約4万8700円が上乗せされ、子供がいる場合も、子供が18才を過ぎたら受け取れる。
亡くなった社員に対して弔慰金や死亡退職金を支払う企業も多い。全企業の約95%が弔慰金制度を、約80%が死亡退職金制度を導入しているという。金額は、弔慰金の平均が418万円、死亡退職金は平均901万円(勤続25年の従業員が死亡したケース)だ。
保険に入るなら国や企業の保障を知り、足りない分に対して必要最小限に抑えて加入するのが賢い方法なのだ。
※女性セブン2019年1月3・10日号