「外国人客の中には店員とのコミュニケーションを求めてくる人が多いですが、日本語でも答えられないことを聞いてくる人には困ります。“ラーメンは日本で生まれたのか?”“スパゲッティとラーメンの麺は何が違う?” “なぜ日本人は、こんなに食べにくいもの(=箸のこと)を使うのか?”とか……。日本に興味を持ってくれているのは嬉しいのですが、なにぶん英語はサッパリなので、いつも適当にごまかしています」
そんなKさんの店でこれまで起きた一番の事件は、つけ麺の食べ方に関するものだったという。
「つけ麺を頼んだ外国人客に食べ方を説明すると、おもむろにつけ汁を麺にドバーっとかけたんです。外国人は箸を使うのが苦手なので、1回1回つけるのが面倒だと思ったのでしょう。けれどもウチの店では麺をせいろに載せているので、つけ汁がこぼれ、それが自分のコートやカウンターの隣の客のズボンにこぼれ、こぼした外国人は『何で皿に穴が空いているんだ!』と激怒し、隣の客もキレ始め……というのがこれまで一番の修羅場でした」
この時は事態を収拾するため、こぼした外国人と、その隣の客の分の料金を返金したのだそう。すると、こぼした外国人は再びつけ麺を頼み、今度は麺をつけ汁の方に一気に入れたそうだ。