平成という時代もまもなく終りを迎えます。どんな業界でも30年も経てば、勢力図が変わるのは当たり前。東京近郊の進学校の勢力図はどのように変わったのでしょうか? 受験雑誌への寄稿も多い教育系のフリーライター(40代・男性)が見た、最新の勢力図を紹介します。
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高校の進学実績を測る上で1つの指針となる東京大学の合格者数で言うと、平成の30年間で、勢力図はあまり変わっていません。何しろ、平成元年から昨年(2018年)まで、平成の1位はすべて開成(東京)ですし、そのほか、灘(兵庫)、筑波大付属駒場(東京)、麻布(東京)は、ベスト10から一度も漏れたことがありません。このほか、学芸大付属(東京)、栄光学園(神奈川)、桜蔭(東京)、駒場東邦(東京)、海城(東京)、聖光学院(神奈川)なども、確実に上位に入ってきます。
そんな中でも、平成に入って東大合格者数を一番伸ばしたのは渋谷教育学園幕張(千葉)です。“渋幕”は1983年に開校した歴史の浅い学校ですが、1990年代後半に頭角を現すと、2002年に県内トップに上り詰め、2012年以降は毎年全国ベスト10に入る超進学校へと成長しました。姉妹校の渋谷教育学園渋谷中学校(渋渋)も、平成初期に共学化して以降、一気に頭角を現し、毎年20~30人を東大に送り込む都内屈指の進学校になっています。
このほか、平成の30年間で東大合格者数を大きく増やした学校には、豊島岡女子(東京)、市川(千葉)、開智(埼玉)、栄東(埼玉)などがあります。豊島岡女子は、平成初期の東大合格者数は数えるほどでしたが、今世紀に入ってグングンと合格者数が伸び、桜蔭に次ぐ“女子ナンバー2”の座をガッチリキープしています。市川は歴史のある男子校の進学校ですが、2006年の共学化以降に進学実績が急成長。また、埼玉の開智と栄東は、ともに開校40年前後という比較的新しい学校ですが、平成後期に一気に進学校へと成長しました。