一昔前ならば「内職」と呼ばれた地味な仕事も、ネットやスマホの普及で、一気に「ワールドワイドなビジネス」に繋がる時代だ。専門家いわく、「一億総副業時代」の幕開けがやってきた。実際にどんな変化が起こっているのか?
アメリカに住む7才のライアンは、遊ぶことが大好きな、どこにでもいる小学1年生だ。電車やスポーツカーが好きで、レゴブロックに夢中になって「街」を作り上げる。ただ、彼が他の子と違うのは、遊んでいるときにずっとカメラが回っていること。そして、昨年6月までの1年間に約25億円を稼いだことだ。
両親によって彼の動画がユーチューブに初めてアップされたのが2015年3月。新品のおもちゃのパッケージを開けて、遊ぶ。言ってしまえば、その繰り返しだ。アメリカの経済誌「フォーブス」によると、「世界で最も稼ぐユーチューバー」ランキングで1位に輝いた。累計再生回数は約260億回、フォロワーは約1730万人。東京都と大阪府の人口を足したのと同じぐらいのフォロワーがいるということだ。
今、お金の稼ぎ方が、劇的に変化している。毎日オフィスに通勤したり、パソコンにかじりついて株取引したり、知識や経験、技術が必要な“1日仕事”ではなく、未経験の主婦が家事や育児の間でも始められるような“すきま仕事”に一定の収入を期待できるようになってきた。
ライアンの25億円とは言わずとも、月に数万~十数万円なら、充分に現実的な金額だ。『複業のトリセツ』(DMMパブリッシング)著者の染谷昌利さんの話。
「これから本格的に“一億総副業時代”が訪れるでしょう。大きな理由は、昨年1月、政府が『副業・兼業の促進に関するガイドライン』を発表したことです。かつて大手企業は社員の副業・兼業を禁止していましたが、続々と『原則副業自由』に舵を切っています。
それと並行して、ネットやスマホの普及で、SNSやクラウドソーシングサービスを活用した副業も数多く登場し、個人でも簡単にお金を稼げるようになった。時間を切り売りしなくても、アイディアや知識、経験を簡単にお金に換えられる土壌が整ってきているのです」(染谷さん・以下同)