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親の死後、実家を「継ぐか、売るか」の損益分岐点は

選択を誤れば実家は“負動産”に(イメージ)

選択を誤れば実家は“負動産”に(イメージ)

 多くの家族にとっても最も高額な資産である不動産。とりわけ、いずれ“当主”を失うことになる「実家」をどうするかには万全の準備が必要となる。

「まずは親の死後、実家に誰かが住むのか、誰も住まないのかを決めなくてはなりません。その際、実家を今売ったらいくらになるかを不動産業者などに確認し、家族会議の資料にしましょう」(円満相続税理士法人代表で税理士の橘慶太氏)

 ただし、将来的に地価の上昇が見込める都心の物件でもない限り、古い実家を高く売るのは難しい。また、不動産を売却すればその売却益に応じて所得税や住民税がかかる。先祖代々伝わる土地で購入時の価格がわからない場合、税率は最大で20%となってしまう。

 それなら、思い出が詰まった家を残しておきたい――そう考えたくもなる。しかし、冷静に考えなければいけないのは、誰も住まない実家を相続した場合の維持コストだ。

「固定資産税だけでなく、空き家向けの火災保険料や家屋の補修費、庭があればその整備費などがのしかかってきます。マンションなら毎月の管理費が発生します。水道や電気も通していれば、月々の基本料金も払わなければならない。家の大きさにもよりますが、年間のコストは数十万円になるでしょう。

 かといって補修などを放置すれば、倒壊の危険や衛生上の問題がある『特定空き家』に指定される可能性がある。解体勧告の対象となれば、自治体から100万円単位の解体費用を請求されてしまいます」(同前)

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