長い闘病生活を続けて亡くなったり、あるいは緊急手術の甲斐なく亡くなった場合、遺族に高額な医療費負担が残されるケースは少なくない。末期がんでホスピスに入院、終末ケアを受けた場合の医療費は30日間でざっと50万円(3割負担のケース)ほど請求される。
いざという段になって遺族の間で誰が入院費を支払うかで揉めたくはない。南青山M’s法律会計事務所代表の眞鍋淳也弁護士がアドバイスする。
「亡くなった後、入院費や手術費などの未払いの医療費については、法定相続人たちが相続分に応じて負担するのが民法の原則ですが、ややこしくなってしまいます。実際は亡くなる前にちゃんと弁護士などを介して家族間で医療費の負担者を決めておくとともに、被相続人と負担者との間で死後事務委任契約を結んでおいた方がいい」
終末医療などで自己負担が大きくなった場合、本人の死後でもかかった高額療養費の還付を受けられる。
故人が年金生活で住民税非課税だった場合、1か月の医療費限度額の3万5400円(※注)を超えた金額が還付される。申請期間は2年間、手続きは申請者と死亡者の関係を証明する戸籍の写しなど必要書類を添えて自治体の保険年金課などの窓口に申し込む。
【※注/70歳未満で住民税非課税者だった場合】