注意が必要なのは、医療費の窓口負担を故人の資産で支払い、高額療養費の還付金を遺族が受け取った場合、相続の一部とみなされて相続税がかかる可能性があることだ。前出・眞鍋氏はこう話す。
「高額療養費は世帯主に払い戻されることになっているので、亡くなった人が一人暮らしで単独の世帯主だった場合は法定相続人のうちの誰かが代わりに市区町村役場などに申請書を提出します。その際に相続人であることを証明するために、戸籍謄本などが必要です。
ただし、市区町村はお金を返してくれるだけなので、今度はそれを相続人がどう分けるのかという問題が出て来ます。戻ってきたお金は、本来は遺産分割協議などをして誰がどれだけ受け取るのかを決めなければならない」(同前)
新たな“争続”の火種にもなり得る。そうした混乱を避ける一つの方法は、入院などをする前にあらかじめ自治体で高額療養費の限度額適用認定証をもらって病院に提出しておくことだ。そうすれば病院の窓口では最初から低い限度額の金額(住民税非課税者なら3万5400円)しか請求されず、還付自体が発生しない。
※週刊ポスト2019年1月18・25日号