遺言を決めるのはあくまで親だが、家族会議は、子供のうち誰が家や不動産を継ぎたいと考えているのか、資産ごとの分配について子供たちの考えを親に伝える場だと促したい。意見がまとまらなければ複数回開いてもいい。それを踏まえて遺言書を作成する。書き方にも注意がいる。
「相続分は曖昧な表現でなく、家と土地は登記簿記載の表示通りに書き、金額も『××には500万円』などと具体的に書くことが重要です。『遺産の2分の1』といった書き方では土地の評価を時価でみるか、固定資産税評価額で計算するかといった問題が起きる。
お世話になった人など法定相続人以外に遺産を分配する場合は、金額に加えて『長年にわたって献身的に介護や世話をしてくれた』など、なぜ遺産を譲りたいのかという理由まで含めて、その遺志をきちんと書くことが大切です。遺志を貫徹したいなら、費用はかかりますが、遺言執行人を弁護士にしておくとよいでしょう」
不動産などを「一任する」「任せる」という表現も、所有権移転登記の際に相続や遺贈と認められない。「相続させる」「遺贈する」とはっきり書いた方が良い。
作成した遺言書は相続人全員に事前に見せておくのがベストだろう。
※週刊ポスト2019年1月18・25日号