「生前、父は『お前を生命保険の受取人にしてあるから、自分の死後はそれで葬儀代などを賄ってくれ』と話していました。当然、保険証書を保管してあると思っていたのですが、父の死後、たんすの中や仏壇の引き出し、本と本の間など家の中をくまなく捜しましたがどこにもありません。どうやら引っ越しの時に捨ててしまったようでした。
どこの保険会社かもわからないため、片っ端から保険会社に問い合わせたのですが、結局特定できず、とうとう保険金を受け取れませんでした」
悔しい思いを語るのは愛知県在住の自営業、奥田陽子さん(仮名・38才)。受け取れる保険金がいくらだったかもわからないが、この時のことを考え出すと夜も眠れなくなるという。社会保険労務士の井戸美枝さんが話す。
「保険金は、故人の死後、自動的に支払われるのではなく、自分から申請しない限り支払われることはありません。受け取りの時効は通常3年と決められており、これを過ぎると保険金の支払いは基本的には難しくなります」
保険証書を紛失したとしても、契約した保険会社さえわかれば、保険金を受け取れる可能性は高い。
保険会社がわからない場合も、保険会社から定期的に届く契約状況の通知や生命保険料控除証明書などがあれば特定でき、預金通帳やクレジットカードから保険料が引き落とされていれば、その明細書も手がかりになる。