投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が1月28日~2月1日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は上げ渋りか。欧州経済の減速や欧州連合(EU)からの英国の離脱(ブレグジット)の不透明感から、欧州通貨売り・米ドル買いによるドル選好地合いが継続しそうだ。ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)で連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース鈍化を嫌気した売りが、ドルを下押しする見通し。
24日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会やその後のドラギ総裁による記者会見で、ユーロ圏経済の成長見通しをめぐるリスクは下向きなどと述べ、今後の金融政策がハト派寄りに傾く可能性からユーロ売りが強まった。また、ブレグジットに関しては「合意なきEU離脱」への過度に悲観的な見方は薄れ、離脱延期の観測からポンド買いに振れている。ただ、期待先行のためリスクも大きく、今月中に行なわれる予定の議会採決でブレグジット合意代替案が否決された場合、リスク回避のポンド売りが大きく広がる可能性がある。
そうした背景からドル選好地合いとなり、ドル・円は110円台を回復しても不自然ではないだろう。ただ、FRBが29-30日に開催するFOMCで、低調な経済指標を背景とした景気認識が注目され、中立的な金利水準に到達するタイミングなどに議論が集中しそうだ。それにより引き締め回数の削減への思惑が広がり、ドル売り・円買いが活発となる可能性もある。
今月30-31日に予定される閣僚級の米中通商協議で両国の対立が解消される可能性はまちまちで、リスク回避的な円買いが見込まれる。また、壁建設費計上をめぐる政府と議会の対立が株価を押し下げ、ドル売りを誘発するシナリオもありうる。
【米・10-12月期国内総生産(GDP)速報値】(30日発表予定)
30日発表予定の10-12月期国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率+2.5%となる見通し。成長率は4-6月期の+4.2%、7-9月期の+3.4%から徐々に鈍化しているが、想定内の容であれば年内再浮揚の可能性に思惑が広がりドル売りは限定的となろう。
【米・連邦公開市場委員会(FOMC)】(1月29-30日開催予定)
FRBは1月29-30日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。政策金利は据え置きの公算。日本時間31日午前4時にパウエル議長の記者会見が予定されており、ハト派寄りの発言内容で利上げ鈍化への思惑からドル売りに振れやすい見通し。