1月30日、新興市場が急落に見舞われた。そのきっかけとなったのは、東証マザーズ全体の10%超の時価総額を占めるリーディング・ストックであったバイオベンチャー、サンバイオ(マザーズ・4592)の株価大暴落だ。
同社が大日本住友製薬と共同開発している慢性期脳梗塞を対象とした再生細胞医薬品「SB623」が米国のフェーズ2b臨床試験で「主要評価項目を達成できなかった」と1月29日に発表。それまで治験成功に大きな期待が寄せられ、株価は昨年11月の3600円台から1月21日には3倍超となる一時1万2000円台をつけるなど駆け上がってきた。
しかし、発表翌日となる30日の株式市場では1200万株もの大量の売り注文が殺到し、前日終値1万1710円からストップ安となる8710円(25.62%安)で比例配分となり、翌日以降も株価下落は避けられない情勢だ。
サンバイオ株の失望売りに伴って、大日本住友製薬(東証1部・4506)が30日にストップ安の3065円となったのをはじめ、他のバイオ関連株もそーせいグループ(マザーズ・4565)が11.05%安、ヘリオス(マザーズ・4593)が12.84%安になるなど影響が広がっている。カブ知恵代表の藤井英敏氏が語る。
「サンバイオ株の直近の信用買い残が344万株まで積み上がっていたように、個人投資家の信用買いが多い銘柄で、なおかつ個人投資家のなかには同社株を担保に他のバイオ関連株を全力2階建てで買っているようなケースも多く、大量の追証(追加証拠金)が発生するのは必至の状況です」
こうした事情から、サンバイオ株のみならず、他のバイオ関連株も総崩れする“バイオハザード”と化している格好だ。マザーズ上場の他のバイオ関連株の連れ安もあって、30日のマザーズ指数は前日の961.19ポイントから883.39ポイントへと8%安に見舞われている。