中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

中川淳一郎氏 私の人生を切り開いてくれた「恩人」との出会い

 多分、これを念じた時間は20秒ほどでしょう。そんなに長くお祈りをするのも他の人に申し訳ないのでこれぐらいにしましたが、20秒で私はここまで心の中で言いました。その後、皆で食事会をしたのですが、そこにいる“仲間”を見るにつけ、Kさんがこの“仲間”を組織化してくれたんだな……とまたもや感謝した次第であります。

 自分の生活を成り立たせてくれるのは結局「他人」であります。もしも就職をするのであれば、最初に声をかけてくれた人だったり、採用にも関わってくれた人事部の人だったりするかもしれませんし、或いはコネを持っていた親戚かもしれません。転職もエージェンシーに登録をする、などはあるかもしれませんが、やはり自分を推してくれた人がいたからこそ成功しやすいものです。

 私のようなフリーランスの場合ですと、もっと「推してくれる人」の存在は重要で、何しろ「替え」はいくらでもいるんですよ。そう考えると、多くのフリーのライター・編集者の中で自分を選んで会社の中に居場所まで作ってくれたK氏のあの判断については「恩人」と言うしかありません。

 NEWSポストセブンも今年9月29日でサイト開設から丸9年となり、9月30日からは「10年目」に入ります。2010年の出版業界とウェブという話でいえば、まだまだ抵抗感が強かった時代でしょう。

 しかし、K氏は「これからはコンテンツホルダーはウェブを重視しなくてはなるまい」という判断をし、社内での様々な調整を経て、なんとかテイクオフをするに至り、私も含めた完全に「外様」のフリーランスも社内に入ることを良しとしてくれました。

 私にはこうした「恩人」と呼べる人が他に3人おりますが、「私が頑張った結果の今である」みたいなゴーマンな言い方は慎まなければならないでしょう。あくまでも「自分を引き上げてくれた“恩人”がいたからこそ、今、自分は幸せな人生を送れているのだ」とK氏の一周忌を迎え、改めて感じ入りました。

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