親や夫が突然亡くなったら──遺族にはさまざまな手続きが残されている。今年も確定申告の時期が近づいてきたが、生前、親や夫の医療費に10万円以上かかったなら、自営業の人も、会社員で普段は確定申告しないという人も、遺族が「準確定申告」で医療費控除を申請すれば、いくらか取り戻せる。介護にかかったお金も一部申請可能だ。
準確定申告とは、所得税の申告が必要な人が亡くなった時、相続人が代わって故人の確定申告を行うこと。
準確定申告の手続きは、通常死後4か月以内と期限が決められている。しかし実は、これを過ぎても5年以内は申請可能だ。栃木県在住の自営業、田中靖恵さん(仮名・62才)は自らの体験を話す。
「会社を経営していた父が亡くなった際、死後の手続きや会社の手続きなどで忙しく、医療費控除の申告をすっかり忘れていました。でも、猶予は5年あるからと悠長に構えていて、2年を過ぎた頃に申請したら、税務調査が入っていろいろと調べられてしまったんです。通常ならすんなり通ったとみられる医療費控除も、通らないものがいくつかありました」