家族の死後は、悲しみにくれる暇もなく、様々な手続きが待っている。1つ終わったと思えば、また1つ…、いつまで経っても終わらない「手続き地獄」は、誰にも容赦なく襲ってくる。
遺産分割の協議には、相続人の間でちょっとしたすったもんだがあったけど、なんとかまとまった。これでやっと銀行口座や不動産などの名義変更が進められる──ところが、ここで躓く人が多い。大阪府在住の55才主婦・関さんの話。
「メインの銀行口座を解約するため窓口に行きました。すると、解約するには父の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本が必要というのです。祖父が転勤族だったので、父はこれまで何度も住所が変わっており、そのうちいくつかは本籍地も変更していました。
長女の私だって、父が福岡出身であることは知っていても、どこを転々としたのか、細かくは覚えていませんよ。だから、一つずつさかのぼって、全国の役所から取り寄せなければならず、とても大変でした」