「空白恐怖症」という言葉を知っているだろうか。昨年12月、小学館が発表した第3回「大辞泉が選ぶ新語大賞2018」で大賞を受賞した新語で、意味は「仕事がないときに、あたかも仕事をしているように見せるためにダミーの予定やフェイクの予定を入れるほど、自分の予定が空白な事を恐れていること」とある。
この意味からも、もともとはビジネスシーンで使われるようになった言葉だということがわかるが、プライベートでも同様のケースはあるようだ。
東京都在住の看護師、Aさん(20代女性)もその一人で、「予定の空きが何より怖い」と話す。
「大学生のときから、とにかく予定が空いているのが恐怖でした。電車やカフェで手帳をよく開いて、空白をどうにか埋めようと考えるのがいつものクセ。予定がないと無理にバイトを入れたり、友達の家に押しかけたりしていました」
どうしても予定が埋まらないときは、無意味に彼氏が通う大学まで行ったり、そこまで親しいわけでもない友達と遊んだりするなどした。社会人になった今もその姿勢は基本的に変わっていないという。
「インスタのストーリーやツイッターのタイムラインを見ていると、みんな楽しそうに過ごしている日常があって、それが充実しているように見えるんです。一方の私は別に発信できるほどの予定も思いもなく、“空っぽ”というのが何だか悲しくて……。だから夜勤明けで、本当は眠くてすぐに帰りたいのに、同僚や友人と遊びに行ったり、日勤の後でも無理に予定に入れていました」(Aさん)