給料日前でお金が無い時にありがたいのが、ツケがきくお店。本来であれば、ツケは信用があってこそ成立するもののはずだが、たまりにたまった飲み屋のツケは果たしていつまで許されるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
家具輸入の会社を営んでいます。昨年来、業績が悪化し、経営的に厳しい日々が続き、馴染みの飲み屋のツケも払えていません。飲み屋のママは「いつでもいいから」といってくれていますが、その額も20万円以上にもなると、心苦しいばかりです。法的にツケというのは、いつまで待ってもらえるものですか。
【回答】
飲食代のツケは、いわゆる掛売りと同じです。商人間であれば、締め日と支払日の約束をします。しかし、飲み屋のツケでは、こうした約束がないことも多いと思います。その場合は期限の定めのない債務として、請求を受けたときに支払義務が生じます。
もっとも、ママさんの「いつでもいいから」が請求を見合わせているだけなのか、お金ができたときに払ってほしい、という出世払いなのかで違ってきます。
後者のお金ができたら……というような将来確実に実現するとは限らない不確定な事実が発生したときに、債務の履行期限が到来する債務を不確定期限付きの債務といいます。不確定期限は不確定な事実が実現したときだけではなく、例えば、あなたが破産するなどして支払うお金がない事実が確定すれば、待っている理由もなく、同様に期限が到来します。