医師の認可さえあれば、こんなものまで?と思える意外なものは多くある。例えば、歯科治療ならインプラントも対象となり、子供なら歯列矯正も適用可能。また、高齢になると耳が聞こえにくくなったり、目の病気にかかることが増えるが、医師が必要と判断すれば、補聴器代やレーシックの手術費なども適用となる。
そのほか注目したいのが、AGA(男性型脱毛症)治療も控除の対象であること。かつらや市販の育毛剤などは対象外となるため、薄毛に悩んでいる人は積極的に病院にかかった方が確定申告でお金を取り戻せる。
温泉やマッサージ、スポーツ施設も控除の対象
医療費控除に含まれるのは、病院での支払いにとどまらない。福田さんが話す。
「高血圧や糖尿病といった生活習慣病などで、医師が治療に必要と認めた場合には、温泉療養の費用やスポーツ施設の利用料も医療費控除に認められます。ただ、どこでもよいわけではなく、厚生労働省が認定した温泉療養施設やスポーツ施設のみに限られます。また、国家資格を持つ施術師によるあん摩マッサージや鍼灸院での治療代も医療費控除の対象です」
単なる温泉旅行やマッサージ店の利用では医療費控除の対象とはならないため、注意したい。
扶養外の子や別居の親の医療費もまとめて申請
医療費控除は、同居している家族の医療費を合算できるだけでなく、扶養から外れている社会人の子供や遠方で別居している親の医療費も合算可能という。税理士の山本宏さんが話す。
「自分が医療費を負担していることが前提となりますが、『生計を一にする』家族であれば、全員分をまとめて申請できます。『生計を一にする』とは、つまり医療費を出す『財布が同じ』であるということ。必ずしも扶養内である必要や、同居する必要はありません。社会人の子供の治療費を出した場合や、銀行口座などに別居している親に仕送りをしている形跡があれば、子供や親の医療費の申請も認められるでしょう」
ただし、親の年金収入が多く、3万円の仕送りしかしていないような場合は、「生計を一にしている」とはいえないため、認められない可能性が高い。
※女性セブン2019年2月21日号