ある30代の中国人カップルが、春節休暇を終えて北京に帰郷した。2月10日20時38分に長春(吉林省)を出発した快速列車は13時間20分かけて北京に到着したが、“無座席チケット”しか買えなかったため、この間、徹夜で立ちっぱなし。ただ、車内はラッシュ時の田園都市線のようにすし詰め状態なので、慣れている彼らは、立っている状態で支え合いながら寝ることができるそうだ。
もちろん、彼らは航空機も含め、相対的に高額なチケットが買えないわけではない。節約しているわけでもない。ただ、少しだけチケットの購入に出遅れたために、仕方なく立ち席に甘んじているのである。
2000年代後半から2010年代前半にかけて、中国版新幹線と呼ばれる高速鉄道“動車組”の敷設が全国的に進み、鉄道輸送力は大幅に強化されている。平常時であれば、むしろ空席の目立つ“動車組”だが、春節、国慶節といった大型連休には瞬間的に極端な需要増が生じる。これは、東北地方だけではなく、全国的にほぼくまなく発生する普遍的な現象である。
彼らは、実家で親戚や知り合いのお宅を訪問するのだが、その際、お土産を用意することになる。北京で働く30代のカップルなら、1カ所あたりのお土産は100~200元(1620~3240円、1元=16.2円で計算、以下同様)程度で構わない。それこそ、少し高めの白酒や、高価な果物、乾物、飲料などがよくお使い物として使われる。
しかし、訪問する数が多ければ、相当の金額になる。また、両親や祖父母に電気製品を買ったりすれば、それなりの金額になる。もっとも、現在では農村でもEC(電子商取引)が普及しているので、持っていく必要がない分だけ、以前と比べれば楽である。